首都東京の中心に位置するエキマチには「これぞ日本の様式美」と言えるものたちが数多く存在する。
情緒と哀愁にあふれる「渋酒場」、古き良き昭和を感じる「純喫茶」、ホスピタリティとサービス精神に満ちた「無料スポット」、いかなる空間も無駄にしない、という工夫を感じる「路地」や「高架下」。そして細部にまでこだわりぬいた美しき「和グルメ」。
エキマチだからこそ見つけられる日本のストロングポイントを、十分に堪能してみよう。
編集協力=小野 和哉(都恋堂)、松村 美保 取材・文=佐藤 さゆり、増山 かおり、名嘉山 直哉
撮影=丸毛 透、平澤 誠司、竹内 浩務(スタジオダンク)、中川 有紀子
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喫茶 ストーン
1966年創業。有楽町ビジネスパーソンの憩いの場。初代店主の実家が石材店だったことから、ショールームも兼ねてこの内装に。デザインはインテリアデザインの学校を卒業したばかりの方に、縁あって依頼。壁には国会議事堂にも使われたという御影石を使い、床は職人が一枚一枚手で割った大理石をモザイクのようにちりばめた。当初は白かったという御影石の壁の色の変化が、半世紀にわたる時の流れを感じさせる。
喫茶 ストーン
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アロマ珈琲
自家焙煎の豆をサイフォンで淹れるコーヒーの芳醇な香りに誘われて、昼夜を問わず賑わう老舗喫茶。早朝の開店時間よりも早く顔を出す常連たちのお目当ては、分厚いトーストにゆで卵、バターとジャム、あんこまで付く名物のモーニング。地下駐車場に入るスロープの真下にあることから、レジ周辺の天井が斜めに。半地下造りで階段があるユニークな造りもこの店の魅力。
アロマ珈琲
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Flor de Café 銀座 樹の花
華やかな銀座の端にある交差点の角地、狭い階段を上った先にある隠れ家的カフェ。今から38年前、店のオープンからわずか4日後に偶然この店を見つけてふらりと訪れたのは、ジョン・レノンとヨーコ夫人だった。2人が座った席は今も使用されており、空いていれば座ることができる。ジョンにちなんだメニューのほか、手作りスイーツやインド人直伝のスパイスカレーも評判。
Flor de Café 銀座 樹の花