編集協力=小野 和哉(都恋堂)、 篠賀 典子 取材・文=味原 みずほ 撮影=金井塚 太郎
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八重洲大飯店
もっちり麺と棒棒鶏の旨味がアクセント
1967年から日本橋に佇む、鶏の煮込みそばが名物の老舗。夏に食べたいのは胡麻だれ蒸し鳥のひやしそば。胡麻なのに思ったよりもさっぱりといただけるのは、鶏スープをベースに、まろやかな味と香りが特徴の千鳥酢とレモン果汁で酸味を効かせているから。トッピングの蒸し鶏には同店人気の特製棒棒鶏の深みのある旨味と甘みのタレがアクセントになっている。麺は名物鶏の煮込みそばのようにもっちりとしていて食べ応えあり。
涼やかなガラスの器で提供される、胡麻だれ蒸し鳥のひやしそば1500円。通年提供。
ホールスタッフの赤堀麻衣子さんと小野裕子さん。きめ細かな接客が心地よい。
元ジャズ喫茶だったという面影が残る落ち着いた雰囲気。
日本橋でおよそ50年の歴史を持つ高級中国料理店。 -
ホテルオークラ 中国料理 桃花林 日本橋室町賓館
歴史ある名門店の五目冷やしそばを堪能
1962年のホテルオークラ開業時から続く中国料理の名店。初の直営店として伝統のレシピやホテルクオリティのサービスが日本橋でも味わえる。8月31日までのランチで提供する五目冷やしそばは、ゲストの好みで味わえるよう麺と具、胡麻ダレを別々で提供。タレはさらりとしているが、味は濃厚でクリーミー。厳選した食材の旨味が際立つシイタケの甘煮やチャーシュー、クラゲ、エビなど色や食感、味わいの違いも満喫したい。
胡麻ダレ、醤油ダレが選べる五目冷やしそば2160円。8月31日まで。
温もりあふれるサービスをしてくれるマネジャーの救仁郷寿幸さん。
ダイニングのテーブルはゆったりと配され、落ち着いて食事ができる。
中国の調度品がしつらえれた重厚な雰囲気のエントランス。 -
純広東料理 慶楽
半世紀以上変わらぬエビとカニの饗宴スタイル
池波正太郎も通った純広東料理の名店。創業1950年、広東省出身の祖父の代から変わらぬ味を提供している。夏に登場する芝麻冷麺は、豪華にもエビとカニのほぐし身がトッピングされている。初代が考案したこのスタイルは今でもファンが多いという。窯で火入れし凝縮した旨味のチャーシューとさっぱりした蒸し鶏の対照的な味わいも楽しめる。甘みと酸味が絶妙な胡麻ダレは、飲み干したいという客の声に応え、スプーンも付いた。
芝麻冷麺1230円。冷たくしまった細麺に甘みと酸味が効いた胡麻ダレがよく絡む。提供期間は夏の暑さの状況による。
初代から変わらぬ味を提供する3代目の區祥景(ク・ショウケイ)さん。
店内は中国の意匠を凝らした調度品がしつらえられ、中国の雰囲気満点。
有楽町のガード沿いに佇む老舗。 -
【コラム】そうめんは家で食べるもの? お店で食べるもの?
夏に食べたいもう一つの麺料理が「そうめん」。大量に麺を茹でて家族で食卓を囲むのが一般的な風景という印象がある。お店で食べる人っているの? 気になって東京エキマチ編集部内で調べてみたところ、意外にもお店でそうめんを食べた経験がある割合は半数近く。ただし、「ある派」の理由は「旅先で野趣あふれるそうめんのお店を見つけたため」(30代・女性)、「他に選択肢がなかったため」(50代・女性)と、意識的にはそうめんを選んでいない様子だ。「ない派」は、「そうめんは家で食べるものだから」という理由がやはり多数。ほか「薬味など各家庭のルールがあるから」(40代・女性)、「そうめんを出しているお店を見たことがない」(20代・女性)という意見も。お店が少ないことも、外でそうめんを食べない要因になっているといえよう。
ところが、アンテナショップなど全国の郷土料理が味わえるスポットが充実するエキマチエリアは「小豆島のオリーブソーメン」や「鯛出汁」で食べるそうめんなど、わざわざ食べに行きたくなるお店が充実。この機会に、〝お店でそうめん〟デビューしてみては? -
四国味遍路88屋 丸の内店
小豆島特産オリーブの実を使った緑のそうめん
江戸時代から400年の歴史を持つ伝統製法の香川県小豆島の手延べそうめんに、特産のオリーブの果肉をふんだんに練り込んだグリーン色の麺が涼やか。通常は胡麻油を使って手で縒(よ)りをかけながら生地を引き延ばすところを、オリーブオイルを使っている。地元の特産品を使った名物として注目されている一品だ。いりこ風味のつゆをぶっかけてもよし、つけ麺もよし。四国から直送される約10種類の季節野菜の素揚げが添えられて彩りも豊か。
小豆島のオリーブソーメン 季節の野菜ぶっかけ(冷)756円。夜のみの提供。通年味わえる。
左からスタッフの小澤さん、紺野さん、石山さん、萬足さん。「お遍路のように四国4県の味覚をお楽しみください」