知られざる「定礎」の世界

そもそも定礎(ていそ)って?
そして楽しみ方とは

編集協力=小野 和哉、福元 駿(都恋堂) 取材・文=上原 純 撮影=中村 宗徳

 定礎とは、建築工事の開始を記念して建物の安泰を祈るために行われる「定礎式」で設置される礎石のこと。現在では略式化が進み、建物が竣工した際に、「定礎」と記された石(板)を埋め込むようになったそうだ。定礎石(板)の奥には定礎箱が埋め込まれていることが多く、中には、建築図面や定礎式が行われた日の新聞、建築当時発行されている通貨(紙幣・硬貨など全金種)、関係者の名簿などが収められている。ビルが解体されるまで開けられることはないので、まさに、建築当時の思い入れが詰まったタイムカプセルのようなものといえるだろう。
 定礎の面白いポイントは、特に決まった形式がなく、何から何まで自由に作れることだ。位置や書体、デザインなど、その建物によってオリジナリティーがあるのが魅力といえる。とても読みづらい書体で書いてあるものや、埋め込まれずに飛び出してしまっているもの、施工主名や格言が入っているものなどなど。また、定礎には建設年が表記されているため「昭和64年」や「平成31年」と表記されているのはとても珍しいのだが......残念ながらエキマチエリアでは発見できず! 紹介したもの以外にも個性的なものはたくさんあるので、ぜひ注目してみよう。

知られざる「定礎」の世界
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