本格着物をまとったら、所作までもしとやかに。知らなかった世界へ、いざ!
なんだか今日は視線を集めているような……?
上質な〝和〟経験は、自信を高めてくれると実感。
編集協力=小野 和哉(都恋堂)、篠賀 典子 取材・文=篠原 美帆 撮影=中村 宗徳、荒井 健
写真提供=観世会、お江戸日本橋亭
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一、着替え
プロのアドバイスで、華やかなピンク色の絽(ろ)の訪問着に決定。着付けとヘアメイクもお願いする場合は90分程度見ておこう。
ヘアメイク8640円(ヘアセットのみは5400円)で、グッと大人っぽく変身!着物レンタルあき 銀座店
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二 、鮨(すし)
気さくな大将の笑顔に緊張もほぐれる
初めての銀座一人ずし。ちょっと緊張するシチュエーションでも安心してカウンターデビューできるのは、店主・黒須法明さんの笑顔のおかげだ。羽釜で炊いたシャリは、江戸前の原点ともいえる酒粕酢と米酢をネタに合わせて使い分ける。煮切りしょうゆやユズの香りでひと手間を加えた、江戸前の丁寧な職人の技を堪能しよう。
銀座久兵衛や乃木坂神谷で研さんしたという黒須さん。握り7貫に巻き物、キンメダイの小丼、茶わん蒸しなどが付いた一人前握り3500円。カウンター8席のみの洗練された店内。銀座くろ寿
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三、能楽鑑賞
総檜造りの能舞台を備えた観世能楽堂
観阿弥世阿弥(かんあみぜあみ)以来、約700年の伝統を受け継ぐ能楽。その伝統芸術の舞台として、能楽界を代表する観世会の本格的な能楽公演が、週末を中心に開催される。また不定期だが、初心者向けの能楽教室やワークショップなども、初めての人にも親しみやすい公演も。主催公演の観世会定期能では、空席がある場合、当日最後の能一番を観られるハッピーアワー券3000円の販売もある。
能公演のほか、演劇等の様々な舞台芸術を上演。二十五世観世左近記念観世能楽堂
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四、買い物
奥ゆかしく香る日本文化を伝える専門店
茶道、華道などと並び、古くから日本の伝統文化として伝わる香道。その歴史は古く約1500年の時を重ねている。ふんわりと薫香に包まれた店内には、香や香炉、線香に香道の道具などが並ぶ。香り文化を知り、学ぶためのカウンターバー式のワークショップスペースも用意され、香木体験や調香など毎日3種の体験ができる。
香りに包まれ、心安らぐ時間。
着物のたもとに忍ばせる匂い袋用の珠衣(たまい)の香り各種864円、ケース432円~。香十 銀座 本店
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五、買い物
古民家の佇まいが風情ある日本画材店
1912年(大正1)に創業した筆や絵具、墨などをはじめとして書画用品を取り扱う専門店。店頭にはポチ袋や一筆箋などの和小物が彩りを添える。店奥の戸棚には岩絵具の入ったガラスびんがずらりと並び壮観。青だけでもたくさんの種類があり、趣のある名が付けられている。繊細な色合いに日本独特の色彩感覚が感じられる。
店の軒先には風情あるのれん。
和小物には多くのファンが。有便堂オリジナルのきり絵カード464円は職人の手づくり。
着物を当日返却する場合は、四の後か四、五を早めにめぐり、食事の前に着替えるのがおすすめ。日本橋 有便堂
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六、食事・休憩
繊細な職人の手仕事に見とれる
創業は1803年(享和3)、京都発祥の和菓子店。店内にしつらえたカウンター「菓遊茶屋」では和菓子職人が生菓子作りを実演。月2回変わる3種類の生菓子の中から1つ選ぶと目の前であっという間に作られ、抹茶とともに供される。「お休み処」では季節の生菓子をはじめ、ぜんざいやくずきりなど四季を感じる甘味が楽しめる。
抹茶と季節の生菓子1404円。カウンター越しに職人との会話も弾む。
甘味以外に軽食も用意されている。すだちそうめんは9月末までの提供。鶴屋信 TOKYO MISE
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七、伝統芸能鑑賞
着物で過ごした一日の終わりにひと笑い
毎月およそ21日から27日の夜に催される落語芸術協会の「定席」をはじめ、講談や浪曲、長唄に義太夫など、日本のさまざまな伝統芸能をほぼ毎日公演。木戸銭は前売り2000円前後で、約2時間たっぷりと楽しめる。また、プロの講談師の案内による歴史散歩と寄席鑑賞がセットになった史跡巡りツアー(弁当・ドリンク・寄席鑑賞料込み3500円)も人気。
マンションの一角にある寄席。女性講談師・神田紅佳の軽妙なしゃべりも楽しめる。お江戸日本橋亭