エキマチ 吟行のススメ

俳句の素材を探しながら歩くことを「吟行(ぎんこう)」といいます。
いつも何気なく歩いている道も、「俳句を詠む」という目的があれば、新しい発見があるはず。
そこで今回は俳人の大高翔さんの指導の下、俳句初心者のエキマチ編集部メンバーで、エキマチを吟行してみました。

久保拓英
 音楽・映画・日本文学(近現代)などへの興味は深いが、俳句に関しては全く無知な42歳。本誌編集長。
後藤久美
 エキマチ編集部員。編集業に役立つかもとはじめた俳句歴は約1年。趣味はアイドル動画鑑賞と植物の育成。
福元 駿
 エキマチ編集部の最年少。好きな音楽を聴きながら、近所を散歩するのが日課。俳句を詠むのは小学校の授業以来。

編集協力=小野 和哉、福元 駿(都恋堂) 取材・構成=内藤 孝宏 撮影=荒井 健

ビジネス街「丸の内」は俳句の聖地だった!?
 実は、近代俳句を確立した俳人・高浜虚子が俳句雑誌『ホトトギス』の発行所を最後に置いたのは、丸の内ビルディング、すなわち旧丸ビルの一室(現在は三菱ビルに移転)なんです。虚子は全国各地を吟行しましたが、丸の内の吟行から生まれた句も多く残されています。
「エキマチ吟行」の日は霧のかかったあいにくの天気でしたが、吟行は、基本的に雨天決行です。俳句には雨の句もありますからね。その場で句を詠む必要はなく、俳句の主役となる季語を探しながら見たもの、聞いたもの、感じたことなど、俳句の素材をメモしていきましょう。文庫サイズの歳時記(季語やその解説などが載ったもの) を持っていくと便利です。
 季語というと、動植物の名を思い浮かべる人も多いと思いますが、例えば秋の季語には「体育の日」や「文化の日」などの行事や、「栗飯」「柿」「林檎」などの食べ物も。歩き疲れたらカフェやレストランに立ち寄って、旬のメニューを食べるのも立派な吟行です。
 メモに素材がたまったら、いよいよ俳句を詠んで句会を開きましょう。詠んだ句を無記名で集めてからみんなで閲覧し、感想を話しながら、最後に自分の好きな句に投票します。
 誰がどの句を詠んだかを明かすのは、得票数の多い句を発表した後にすると盛り上がります。「俳句の入門書を読むより、句会に参加するほうが勉強になる」という声も。ぜひ、試してみてください。

俳句・吟行を楽しむための三カ条
一、季語のほか、その場所にあるもの、好きなものから素材を集めよう
一、集めた素材から必ず入れたい言葉を選び、それを中心に詠んでみよう
一、一緒に吟行した人と、俳句の感想を伝え合う句会を開いてみよう

エキマチ 吟行のススメ
    • 監修・講評 大高 翔

    監修・講評 大高 翔

    俳人。藍花俳句会副主宰。京都造形芸術大学通信教育部(芸術学部)非常勤講師。13歳から作句。子どもや初心者への作句指導に定評があり、現在では海外でも活動中。著作に句集『帰帆』『ゼロから始める「俳句入門」』など。
    https://www.shootaka.jp/

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