ぶらりエキマチ散歩
丸の内

Vol. 24(2019年04月10日号)伝統が集う丸の内

次の百年に伝わるであろう 新たな名作が続々誕生

丸の内に新たなランドマークが登場した。4年の歳月を経て開場したのは『東京商工会議所』『東京會舘』『二重橋スクエア』の三位一体型高層ビル、『丸の内二重橋ビル』だ。
その一つ、『東京商工会議所』は、文明開化直後に欧米諸国の商工会議所制度を取り入れ設立された総合経済団体。広報部経済資料センターの渡邊浩江さんは「初代会頭(かいとう)が、貴賓が訪れた時に使える社交場として『東京會舘』を、2代目が、宿として東京駅にステーションホテルを造ることを提言したと聞いています」と、話す。当時、一丁倫敦(ロンドン)と呼ばれたエリアの一角に赤れんが造りの商工会議所が立ち、ルネッサンス様式の『東京會舘』、『帝国劇場』が並んだ。
「欧米視察で劇場とレストランが隣接する姿を見て、『帝国劇場』を訪れた人をもてなす場を作ろうとしたことが、『東京會舘』誕生理由の一つです」と、『東京會舘』広報の外岡慎平さん。
新生『東京會舘』では、伝統と新しさを融合。次の百年に向けた試みが始まっている。新たに誕生したショコラティエの手で本舘限定スイーツを編み出したり、外部から招へいした松本浩之シェフが、名物の魚介料理をモダンな風味に昇華させたり。創建当時からあるチェコガラスきらめく大シャンデリアをはじめ、「1階の壁画は、2代目本舘から受け継いだ猪熊弦一郎氏の作品。これに合わせてカーペットを選んだんですよ」と、数々の調度品が、息を吹き返したように飾られる。それ故に常連客には懐かしさを、若い世代には斬新な美しさを印象付けるのだろう。
界隈には他にも、各地で伝統ある老舗が新ブランドで出店している。『umami nuts』の大野聖子さんは「この街には、斬新で他にはないものを探している人が多いんです」と、出店理由を話す。
伝統を礎に、未来の定番になるべく新たな試みを続ける。その精神こそが、〝丸の内の伝統〟なのかもしれない。

  • 東京會舘
  • 東京會舘

進化し続ける格調高き社交場

東京會舘

今年1月に新テーマ「NEW CLASSICS.」を掲げて3代目本舘が開場。1922年(大正11)の創業以来のシンボルでもある大シャンデリアはらせん階段を照らし、初代本舘に飾られた鉄製モチーフの復刻は玄関上部にあしらわれ、新たな形を作っている。また、レストランやショップにも、新たな試みが満載だ。
◎二重橋前〈丸の内〉駅、有楽町駅、日比谷駅B5出口徒歩1分。千代田区丸の内3-2-1
☎03・3215・2111
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  • RESTAURANT PRUNIER(レストラン プルニエ)
  • RESTAURANT PRUNIER(レストラン プルニエ)

2つの舌平目の洋酒蒸ボンファムを召し上がれ

RESTAURANT PRUNIER(レストラン プルニエ)

日本初の鮮魚介料理店として1934年(昭和9)に創業したメインダイニング。伝統に新たな風を吹き込むべく、フランスの三つ星店で腕を磨いた松本浩之シェフを招へい。名物の舌平目の洋酒蒸ボンファムは、バターたっぷりの伝統レシピに加え、新レシピ(写真)も用意。ドライベルモットを効かせ、香り軽やかだ。トリュフをまとう平打ちパスタと。
◎11:30~14:30LO・17:30~21:30LO(土・日・祝日は20:30 LO)、月休。東京會舘2F
☎050・3134・4890
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  • SWEETS&GIFTS

手みやげにしたい「ひょうたんスイーツ」

SWEETS&GIFTS

末広がりの形で古くから無病息災の縁起物・ひょうたんが、新たな名物に! シュー皮にクッキーをあしらったシュークリーム959円は、ザクザクと香ばしく、とろんとして上品な甘みのカスタードクリームがぎっしり。抹茶など季節限定の味も用意。ショコラティエ特製のひょうたんショコラ3個入り1620円~もある。生菓子、パンが手に入るのは本舘だけだ。
◎10:00~20:00、無休。東京會舘1F
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  • 東京商工会議所 Chamber’s Gallery(チェンバーズ ギャラリー)
  • 東京商工会議所 Chamber’s Gallery(チェンバーズ ギャラリー)

現在の丸の内へと導いた、140年の礎をひもとく

東京商工会議所 Chamber’s Gallery(チェンバーズ ギャラリー)

文明開化直後の1878年(明治11)、日本で初めて設立された東京商法会議所が前身。初代会頭は渋沢栄一。27歳当時の等身大パネルが設置された小部屋では、渋沢と商工会議所関係の資料閲覧が可能。民間外交として渡米実業団団長で活躍した姿(写真)なども見られる。
◎二重橋前〈丸の内〉駅、有楽町駅、日比谷駅B5出口徒歩1分。9:30~16:30、土・日・祝日休。丸の内3-2-2丸の内二重橋ビル5F
☎03・3283・7690(経済資料センター)
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  • 二重橋スクエア

上質で落ち着いたレストラン街もオープン

二重橋スクエア

『東京會舘』、『東京商工会議所』と共に誕生した『丸の内二重橋ビル』の商業ゾーン。「本物志向の大人のための、こだわりの空間」をコンセプトに、地下1階から地上2階にわたり、日本初出店、新業態を含むレストラン・カフェ、ショップなど25店が出店。
https://www.marunouchi.com/
◎二重橋前〈丸の内〉駅、有楽町駅、日比谷駅B5出口徒歩1分。11:00~23:00(日・祝日22:00)、無休(法定点検日を除く)。丸の内3-2-3
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  • 薫玉堂(くんぎょくどう) KITTE丸の内店
  • 薫玉堂(くんぎょくどう) KITTE丸の内店

天然香料で調香した和の香りに癒やされる

薫玉堂(くんぎょくどう) KITTE丸の内店

1594年(文禄3)に京都の本願寺前で創業した日本最古の御香調進所。「丸の内1933」と名付けられた線香や、キャンドル、京都産純米吟醸の酒粕や京都産ユズなどを用いたハンドクリーム3240円など、上品なデザイン、風雅な香りに魅了される。男性や外国の方へも贈りたい。
◎JR東京駅丸の内南口徒歩1分。11:00~21:00(日・祝日は20:00まで)、無休(KITTEに準ずる)。丸の内2-7-2 KITTE4F
☎03・6551・2630
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  • umami nuts(ウマミ ナッツ)
  • umami nuts(ウマミ ナッツ)

歯触りと香味に手がのびるモダンな豆菓子

umami nuts(ウマミ ナッツ)

南国珍々豆など、鹿児島で人気の豆菓子メーカーが、新感覚の豆菓子店をオープン。熟練の職人が煎った豆は香ばしさと食感が絶妙で、レモンや黒糖、ポルチーニ、枕崎の本枯節などの香味も新鮮。銀色の丸缶もキュートで、手みやげに喜ばれている。手前からあまmi缶、さんmi缶、こくmi缶、各1080円。
◎日比谷駅B4出口徒歩1分。11:00~19:00、無休。丸の内3-1-1国際ビル1F
☎03・6273・4900
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  • 帝劇ビル
  • 帝劇ビル

西洋式舞台が始まった由緒ある地

帝劇ビル

日本初の本格的な西洋式劇場として1911年(明治44)竣工。現在の建物は、2代目『東京會舘』本館と同じく谷口吉郎が設計し、1966年(昭和41)造。また、ビル1階のレストラン&ショップ入り口に、「帝国劇場の神様」と呼ばれる翁面が。旧帝国劇場では、舞台に向かって飾られていたもので、触るとチケット入手、芸道上達がかなうとか。
◎地下鉄有楽町駅、日比谷駅B3出口直結。丸の内3-1-1
☎03・3287・0818
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  • 丸の内歴史往来図

歴史と現代を重ねたきらびやかな絵図

丸の内歴史往来図

江戸時代の江戸城や武家屋敷、明治期から大正にかけての洋風建築、現代の高層ビル、過去・現在・未来の丸の内の歴史が時代を超えて交錯。信任状捧呈式の馬車列や、天下祭りなども緻密に描かれ、絢爛豪華たる錦絵のよう。こちらの副題は「丸の内名所再見・時空遊覧」。丸ビル・新丸ビル前の地下広場角地に、2007年に設置されたものだ。
◎東京駅M9出口そば。丸の内1-5付近 地下通路
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  • 東京駅丸の内駅舎

東京駅丸の内駅舎

辰野金吾が設計し、6年の歳月をかけて建設した東京駅は、1914年(大正3)開業。戦災の復旧工事により2階建てになったが、2012年、開業時と同じ3階建てに復原された。往時を彷彿させる、赤れんがの駅舎は、ステーションホテルを備え、八支の彫刻が施された八角ドーム、天然スレートの屋根など、エレガントな風情。国指定の重要文化財だ。
◎JR東京駅丸の内中央口。丸の内1-9-1
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