ぶらりエキマチ散歩
有楽町

Vol. 26(2019年08月10日号)東京交通会館

新時代が訪れても懐かしく心温まる駅前ビル

さすが、有楽町駅前。各地のアンテナショップが入居し、いつも祭りのようなにぎやかさ。けれど、地下へ、階上へと向かえば、フロアごとに店構えが変わり、雰囲気が異なってくる。
ここは戦後、闇市が発展した「すし屋横丁」があった場所だ。
「すし屋は確かに多かったの。でも、食堂やたばこ屋なんかもあって、雑多だったわね」と、幼い頃の記憶を頼りに話すのは『甘味おかめ』の3代目、阿部弘子さん。その横丁を丸ごと抱きかかえるように1965年、開業。てっぺんの15階にあるのは、今や珍しくなった回転展望レストランで、360度ゆっくり流れる景色を眺めながら、優雅に食事やお茶が楽しめる。また、3階の屋上庭園は、陽光と風を感じるオアシス。子供たちがはだしで歩き回り、行き交う新幹線に見とれている。
そして、地下1階はビル内とは思えぬ横丁風情で、小さな店がひしめき合う。開業当時はまだ都庁が近くにあり、新聞各社も林立していた。「すぐそこは銀座だけど、有楽町は働く人たちの街だったの」と、阿部さんは早朝から深夜まで店を開けていたと目を細める。
同じく、横丁時代から店を営む『あけぼの』2代目の中村文造さんは、「祖母が入り口脇にあったレジに座って、両親はカウンター越しにお客さんとよく話してました。今? 僕も話してますね」。開業時から続く『喫茶ローヤル』のマネジャー・野山弘さんは「他の店の人も、日々立ち寄ってくれるんです。昔からの常連客のためにも、味は変えられません」と、胸を張る。
「ここはね、村なのよ。仲間意識もあって、家族ぐるみのお付き合い」と阿部さん。代替わりや、店替わりを重ねているが、それでも昭和から変わらぬ人情と風情が、脈々と息づいている。

  • 東京交通会館

東京交通会館

かつて有楽町駅前にあったバス操車場とすし屋横丁跡地に、1965年創業。15階に回転展望レストランを冠し、地下1階、地上3階に、飲食店、ショップ、アンテナショップ、ギャラリー、パスポートセンターなどが入る。駅前広場に隣接する1階ピロティーでは、イベントも不定期開催。
◎JR有楽町駅京橋口徒歩1分。8:00~23:00(店舗により異なる)、無休。千代田区有楽町2-10-1
☎03・3212・2931
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  • 喫茶ローヤル〔B1〕
  • 喫茶ローヤル〔B1〕

昭和ゴージャスな風情でいただく朝食

喫茶ローヤル〔B1〕

「先代の社長の趣味で」と話すのは、マネジャーの野山弘さん。お尻を包み込むような赤い椅子、木をあしらった鏡の壁、天井のレリーフなど、うっとりする内装だ。3cmもある分厚いトーストにゆで卵という王道モーニングは、特注の豆をネルドリップで入れるコーヒーとともに、朝のひと時を楽しみたい。
◎8:00~19:30(モーニングは10:30まで。土・日・祝日は11:00~18:30)、無休。
☎03・3214・9043
  • 甘味 おかめ 交通会館店〔B1〕
  • 甘味 おかめ 交通会館店〔B1〕

民芸で調えた和空間で、ほっと心和む甘味を

甘味 おかめ 交通会館店〔B1〕

1946年から有楽町で営む甘味店。おでんやきしめんもあるが、他では味わえないのが蔵王あんみつ790円だ。「手間だけはかけるの」と、店主の阿部弘子さん。硬い金時豆を、時間をかけて軟らかく炊いたあんは豆の香りがふくよか。ソフトクリームが絶妙に溶けあい、男性客もトリコに。照明やテーブル、器など、しつらえにも心和む。
◎11:00~20:00(土は19:00まで)、日・祝日休。
☎03・3216・6008
  • とんかつ あけぼの〔B1〕
  • とんかつ あけぼの〔B1〕

2代にわたって受け継がれる職人技の香味あふれるフライ

とんかつ あけぼの〔B1〕

とんかつが人気だが、サービス定食1000円は、エビフライとヒレカツに、アジフライかカニクリームコロッケが選べるぜいたくなセットメニューだ。国産豚肉や魚類を粗挽き生パン粉でくるみ、「コクと香りが加わる」とラードで揚げれば、さっくり香ばしい。釜炊きのご飯が進む。
◎11:00~15:00・17:30~20:00(土・祝は11:00~16:00。売り切れ次第終了)、水夜・日休。
☎03・3211・3934
  • 后(さき)バー有楽(うらく)〔B1〕
  • 后(さき)バー有楽(うらく)〔B1〕

日替わりおかみが出迎える日本酒専門のバー

后(さき)バー有楽(うらく)〔B1〕

赤い照明に浮かぶのは、半円カウンター席や赤い椅子。元洋酒パブの昭和なスナック風情を生かした日本酒専門バーだ。獺祭(だっさい)純米大吟醸 磨き二割三分をはじめ、鶴齢、開運、月の井などが定番。あとは、日替わりおかみが隠し酒を用意。香りが立つようにとワイングラスに注がれる。ゆるゆる飲みたい。チャージ500円(ボトルウオーター付き)。
◎16:00ごろ~22:00LO、無休。
☎03・3216・1610
  • 靴磨キ 千葉スペシャル〔1F〕
  • 靴磨キ 千葉スペシャル〔1F〕

見る見るうちにピカピカ!神業の靴磨き

靴磨キ 千葉スペシャル〔1F〕

駅前の路上で創業し、常連客の勧めで2012年より三省堂書店前で店開き。開店直後から客足は絶えず、時に1時間待ちも。人々を魅了するのはその腕前。アルコールで濡らした布で汚れをふき取り、ブラシをかけ、独自調合の靴クリームで磨き上げると、ツヤピカ。商談前に立ち寄る人も少なくない。約10~15分で1100円。
◎9:00~19:00(土は9:30から)、日・祝日休。
☎090・9290・5165
  • 東京交通会館内郵便局〔1F〕
  • 東京交通会館内郵便局〔1F〕

買い物ついでに立ち寄りたい郵便局

東京交通会館内郵便局〔1F〕

注目は、入り口前の柱に備わるポスト。オフィスフロアとつながり、ときどき上階で投函された郵便物が柱の中をすべり落ちてくる。また、風景入り日付印も用意。回転展望レストランが載る建物前を、N700系の東海道新幹線が走るオリジナル。62円以上のはがきや切手を貼ったポストカードに押印してくれる。
◎郵便は9:00~18:00、貯金・保険は16:00まで、ATM以外は土・日・祝日休。
☎03・3212・4089
  • スターフライヤー〔2F〕
  • スターフライヤー〔2F〕

ブラック一色でしつらえた空間・内装が印象的!

スターフライヤー〔2F〕

北九州を拠点とする航空会社のアンテナショップが2018年より登場。高級感漂うレザーシートに座れば、ラグジュアリ~。さらにユニークなのが機内安全ビデオ。ロボットのスターフライヤーマンに見入ってしまう。ゼンリン・北九州市と共同製作したノートや、モデルプレーンなど、グッズも多彩。また、8月20日~9月1日に子供向けイベントを開催。親子での制服試着も。

黒の機体をシャチに見立てた、シャチのぬいぐるみ1000円、北九州の空港マップ付きのノート1300円など、限定グッズもあり。
◎10:00~18:00、不定休。
☎03・5220・7369
  • 屋上庭園『コリーヌ』〔3F〕
  • 屋上庭園『コリーヌ』〔3F〕

屋上庭園『コリーヌ』〔3F〕

草花が茂る3階屋上庭園『コリーヌ』は、絶好の新幹線ビュースポット。日よけベンチに腰掛け、いつまでも眺めたい。

ユニークな建物の帽子に、コリーヌ庭園の花柄スカート姿のトッコちゃん。東京交通会館名店会のイメージキャラクターだ。
◎10:00~16:30
  • 銀座スカイビアテラス〔13F〕
  • 銀座スカイビアテラス〔13F〕

9月13日まで。極上のビアテラスを体感

銀座スカイビアテラス〔13F〕

展望回転レストラン直下の屋上空間に夏だけ登場するのがビアテラス。フレンチを中心に、アメリカで人気のローディッドフライなど、料理は東京會舘ならではのクオリティで心躍る。単品注文もできるが、飲み放題付きのスカイビアプランは5500円! さらに、真鯛の軽い煮込み、牛リブロースグリエなど、ラグジュアリープラン9000円もあり、ぜいたくの極みだ。
◎17:00~21:00フードLO・21:30ドリンクLO、日・祝日・悪天候時休。
☎03・3212・2776
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