ぶらりエキマチ散歩
八重洲

Vol. 27(2019年10月10日号)変わりゆく八重洲2019

未来へと紡げ!東京駅前・八重洲の匂い

八重洲2丁目北地区は再開発工事の真っただ中。その一角で、屋外型飲食店施設が期間限定でオープンしている。「新しく生まれ変わったとき、街全体が活性化する一助になれば」と話すのは、半世紀にわたり、八重洲に東京の拠点を構えるヤンマー本社広報の坂田直輝さん。現在取り組む食事業をアピールし、「建て替え後の新ビルでも、さまざまな情報発信を検討しています」と、近い将来を見据える。
隣接する2丁目中地区も再開発予定地だが、今年3月、新たに開館したのは『杉原千畝Sempo Museum』だ。杉原千畝の孫・杉原まどかさんは「やはり東京駅前ですから。着工までの間、命のビザをたくさんの人に見てもらいたくて」と、目を輝かす。
また、八重洲で約60年、店を構える『江戸八寿司』の店主・澤秋裕さんは、「(再開発の)予定は未定なんですよ」と笑いつつ「八重洲には、他にはない街の匂いがあるんです。できればこの街で、店を続けたいんですけどね」。
かつて花柳界があり、芸者衆がいて、林立する料亭の前には黒塗りハイヤーが並んだという八重洲。2年後に着工を控える1丁目の『割烹嶋村』8代目・加藤一男さんは、写真を元に描いた絵を指さしながら「昭和初期建築の店は、大階段が3階まで続く豪勢な造りだったんです」と、懐かしむ。けれど、戦後の変遷とともに、街の顔ぶれは変化。「街も家とまた同じ。きちんと手を掛けないと荒れてしまうんです」。
人々が暮らし、路地裏文化も残る街だからこそ、街のみんなを集め、10年かけてまちづくり勉強会を重ね、さらに10年かけて、みんなが納得できる形に新しく作り変えようと決めたと話す。
「八重洲の文化を次の世代につなぎ渡すのが、この街に残されてきた者や、古い店の使命ですから」

掲載されている料金は2019年9月時点の税込み価格です。
現在は変更されている可能性もございますので、各店舗にご確認ください。

  • 匂い立つような、古き良き昭和な路地
  • 匂い立つような、古き良き昭和な路地

匂い立つような、古き良き昭和な路地

昭和な路地が縦横無尽に走る八重洲。木造建築や古びたビルが残り、ゆるいイラスト看板を掲げていたり、看板が点々と路地を灯していたり。再開発が始まる前に目に焼きつけておきたい。
  • 割烹嶋村
  • 割烹嶋村

江戸に始まる料理屋で幕末の味を体感!

割烹嶋村

中央通り寄りで1850年(嘉永3)に創業し、1927年(昭和2)に現在地へ。木造3階建ての料亭は1976年に建て替えた。日本橋・八重洲の活性化のためにと、8代目が土曜限定の幕末会席4180円を発案。焙烙で作る蒸し玉子、ウズラの身と骨をたたいた椀物など、江戸城内や、明治維新の立役者たちもとりこにした味は感涙ものだ。
◎東京駅八重洲北口徒歩4分。11:30~14:00・16:30~22:30(土は11:30~13:30・16:30~21:30)、日・祝休。中央区八重洲1-8-6
☎03・3271・9963
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  • 杉原千畝(ちうね)Sempo Museum

戦時中に命のビザを発給し続けた杉原氏を知る

杉原千畝(ちうね)Sempo Museum

第二次世界大戦中、リトアニア日本領事館に勤務していた杉原千畝は、祖国を追われたユダヤ系ポーランド人に、日本を経由して第三国へ出国できる「通過ビザ」を独断で発給し続けた。彼の人となりを、写真、地図、遺品などで紹介する貴重なミュージアムだ。
◎京橋駅8番出口徒歩3分。11:00~17:00、月・火休。入館料500円。八重洲2-7-9相模ビル2F 
☎03・6265・1808
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  • THE FARM TOKYO
  • THE FARM TOKYO

空の下で味わうぜいたくは、10月31日までの期間限定!

THE FARM TOKYO

農業関連のみならず、食の事業にも力を注ぐ『ヤンマー』が東京ビル建て替えに伴い、期間限定で設けたのが「ワクワクできる食体験」の場。ヤンマー厳選の野菜を用いたメニューやスムージー、米を使ったソフト、グリルメニューが多彩で、BBQも楽しめる。

再開発の工事を背に、10月末まで楽しめる。
ヤンマー東京ビルは、東京支店として1950年ごろに建造。写真は1963年ごろの様子。

www.thefarmtokyo.com/
◎東京駅八重洲中央口徒歩3分。11:00~23:00(土・日・祝は10:00~。施設により異なる)、無休。八重洲2-1-1
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  • 酒場 草間
  • 酒場 草間

八重洲の路地で心尽くしの酒肴に和む

酒場 草間

豊洲市場で仕入れた魚にしっかり味を含ませた煮物が人気だが、締めの焼ラーメンも外せない。1973年から店を構える草間啓治さんは「賄いだったんだけど」と、焼き鳥用の鶏ガラとカツオの合わせスープを使用。野菜満載で、深みある優しい味わいに常連たちの注文が絶えない。

天然白身魚昆布〆1000円、いか大根煮650円、焼ラーメン800円、「豊国、寒河江之庄」1合850円。地酒も充実。
路地を挟んだ向かいで営んだ時の様子を、常連客が18分の1のドールハウスで作製。
◎東京駅八重洲北口徒歩4分。17:00~23:30(土は予約のみ営業)、日・祝休。八重洲1-7-7吉川ビルB1
☎03・3271・5850
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  • 江戸八寿司
  • 江戸八寿司

八重洲で60年。路地裏の地下に潜む老舗

江戸八寿司

丁寧に仕込んだ旬の魚の味を、米酢の上品な香りをまとうシャリが際立たせる。3代目の澤秋裕さんが粋な手つきで握るすしが看板だ。ランチ900円は大ぶり、夜の並1500円は普通サイズだが「飲んだ方には小指の先ほどの握りで」と、客の腹具合で出すところも心憎い。
◎京橋駅8番出口徒歩3分。11:30~13:30・17:00~21:30、土夜・日・祝休。八重洲2-6-4松岡ビルB1 
☎03・3271・0780
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  • 東京駅前八重洲一丁目東地区 第一種市街地再開発事業

東京駅前八重洲一丁目東地区 第一種市街地再開発事業

地上50階、地下4階、高さ約250mの超高層ビルを建設。オフィス、店舗に加え、国際空港・地方都市を結ぶバスターミナルを擁し、カンファレンス施設、最先端医療施設も入る。また、駅と周辺街区を結ぶため、地上、地下にバリアフリーの歩行者道路を整備し、利便性もアップ! 2025年度竣工予定だ。
  • 八重洲二丁目北地区 第一種市街地再開発事業

八重洲二丁目北地区 第一種市街地再開発事業

オフィス、ホテル、商業施設、小学校、子育て支援施設、バスターミナルなど、異なる用途の施設が「まち」のように同居する、ミクストユースプロジェクトが進行中。地上45階、地下4階、高さ約240mのA1街区と、地上7階、地下2階、高さ約41mのA2街区からなり、2022年8月竣工予定。
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