オフィスビルや商業施設の中にふいに現れる異空間。
「こんなビルの谷間に?」と驚く場所に小さな神様が祀られていた。
街の景色は変わっても、人々の信仰心は変わらない。
エキマチの違った一面を見てみよう。
取材・文=石川 あさみ 撮影=加藤 昌人・木村 心保・金井塚 太郎
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〔25〕 有楽大黒
通勤途中に拝める笑顔の神様
JR有楽町駅の構内では、ほほえみを浮かべた大黒天が行き交う人々を見守っている。この有楽大黒は、昭和初期、江戸の守護神を祀る山王日枝神社のご神木で彫られたそう。駅前にあった寿司屋『亀八』のご主人が長く秘蔵。その後、第二次世界大戦の末期に駅長に寄贈された。
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〔26〕 大手町神社
ビルの屋上に広がる緑の大庭園
屋上「スカイガーデン」に鎮座する大手町神社。再開発の守り神として大切にされている。まわりには水田や茶畑があり、秋の例祭なども催される。
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〔27〕 於満(おまん)稲荷神社
かつて参拝名物があったほど人気の高い神社
養珠院通りに佇む於満稲荷神社は、徳川家康の側室だった養珠院、通称お万の方ゆかりの神社。商売繁盛のご利益があると評判で、その名のついた「おまんが紅」や「於満寿司」は参拝客に大人気だったそう。
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〔28〕福徳神社
生まれ変わった歴史ある神社
居酒屋の店内で大切に祀られていた神社が、2014年に再建。かわいいお狐さまが出迎えてくれる。防災機能も併せ持ち、地下に2万食分の食料を備蓄。まさに先進的な神社だ。夜はライトアップされ幻想的な雰囲気に。
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〔29〕将門塚
静謐な空気が漂うビルの谷間の異空間
天慶の乱の後、京の町で晒(さら)されていた平将門の首級(しゅきゅう)が飛んできたとされる将門塚。将門の怨念が祟りをなすという言い伝えもあり、今でも花や線香が供えられている。首塚に掛けて「リストラ防止」を願う参拝者も多い。