とくにビジネスパーソンから長くひいきにされている“ザ・王道”定食を一挙ご紹介。
味はもちろんのこと、歴史の重みに驚いたり、チャーミングな店主に癒やされたり……。
すごいワケを知ったら、食べ慣れた味が変わるかも!?
編集協力=小野 和哉(都恋堂) 篠賀 典子 取材・文=味原 みずほ
撮影=小松原 亜玲
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魚介のコスパ抜群!『大衆割烹 三州屋 銀座店』の金目煮付定食
名物「鳥豆腐」のセットは17時までのサービス!
華やかな銀座のビルの谷間に息づく昭和風情の大衆食堂。神田の『三州屋』から独立して50年、社長の岡田正之さんが毎朝築地で仕入れる魚を使った割烹料理がとにかく旨い。金目煮付定食1100円など煮付けや叩きの定食には17時までの限定サービスで、味噌汁の代わりに鳥スープが絶品の鳥豆腐が付く。味、量、値段とコスパの高さは圧倒的。昼夜通して定食が味わえるのもビジネスパーソンにとって心強い。
見逃してしまいそうな、通りから奥まった場所にある入り口。
酒にも合うと評判の鳥豆腐。壁に張られたお品書きの豊富さに驚く。
社長の甥っ子で料理人を目指す岡田仁さんたちがきびきびと働く。
~こちらもオススメ~
天然ブリ叩き定食◎1100円
カツオ叩き定食◎1100円
銀むつ煮付定食◎1100円大衆割烹 三州屋 銀座店
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メインがパワフル!『咲蘭房』の自家製麻婆豆腐
“中国のお袋の味”をごはんがすすむ定食で
にっこり笑顔がトレードマークの店長・浅野姜英(きょうえい)さんがこの店を継いだのは10年前。純喫茶だった趣をそのままに、中国家庭料理居酒屋として昼も夜もビジネスパーソンたちの胃袋を満たしている。なんといっても人気はボリュームたっぷりのランチ。定番の自家製麻婆豆腐800円のほか、油淋鶏や豚肉の細切り炒め四川風など2週間ごとにメインが替わる2種類のおすすめランチ各800円~も楽しみだ。
純喫茶時代から数えて38年、変わらぬ佇まい。
中国・武漢市出身の店長が毎日作る、家庭の味のお弁当500円は200個があっという間に完売!
骨付き豚ロース肉をのせた排骨チャーハン900円も人気。30食限定。
~こちらもオススメ~
おすすめランチ◎800円~
(ライス・スープ・お新香・デザート付き)
五目やきそば◎800円咲蘭房
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歴史に驚く『割烹嶋村』の若鳥ひとくち揚げ(皿盛)
由緒正しい老舗割烹のヘビー級名物ランチ
創業は1850年(嘉永3)、江戸城御用も務める仕出し屋として始まった。明治期には伊藤博文や井上馨(かおる)らも通っていたという。そんな由緒ある名店のランチには庶民的なメニューも並ぶ。一番人気は若鳥ひとくち揚げ(皿盛)1000円。いわゆるチキンカツだが、ひとくちではおさまらない大きさとボリュームはヘビー級。それでも、添えられた特製甘辛ソースが後をひき、女性でもぺろりと平らげられる。
代々伝わる品書きから江戸時代の味を再現した幕末会席(全8品4104円)も用意。土曜のみ、30食限定。 8代目の加藤一男さん。
「大江戸料理屋番付」では最高ランクに位置づけ。
店先にはいつも花や緑が飾られている。
~こちらもオススメ~
日替わり定食◎900円
お刺身定食(活物5種盛)◎1300円
天ぷら定食◎1700円割烹嶋村
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豆腐のインパクト大!『日本橋お多幸本店』のとうめし定食
老舗おでん屋の極めてシンプルな逸品
醤油が香る茶めしに大きな木綿豆腐が1丁どーんとのったとうめし定食670円。ランチで200食以上、客の8割が注文する看板定食だ。とうめしは、おでん種で人気の豆腐を茶めしにのせるという、その昔常連客の間で秘かに好まれた食べ方がメニュー化したもの。およそ70年注ぎ足しの甘辛くて濃い関東風のおでん出汁が浸み、硬めに炊いた米粒に柔らかな豆腐がとろけて絡む。お好みで七味や山椒を。
1923年(大正12)創業。2002年に銀座から日本橋に移転した。
おでんの持ち帰りも可。1人前(4品)980円~、缶代580円。
毎日鍋前に立つのは3代目社長から店を任されている店長の坂野善弘さん。
~こちらもオススメ~
おでん定食(3品)◎800円
※おでん種はおまかせ、または選べる
お焼定食"大山鶏天然塩焼き"◎900円
仙台直送厚切り牛タン焼定食◎1500円日本橋お多幸本店
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跡を継いで半世紀!『いわさき』のさば塩焼定食
有楽町ガード下の歴史とともに1世紀
昭和の趣ただようガード下界隈。17席の小さな食堂を家族で営むのは3代目店主の岩崎博茂さん。1920年(大正9)、社会運動家であった祖父の岩崎善右衛門が出したおでん屋がガード下初の店舗と言われている。半世紀前、現在の場所に移転し日本食屋に。先代から続く定番のさば塩焼定食850円は皮目がパリパリ、身はふっくら。女将さんがお客さんに合わせて加減よく盛るごはんもすすむ。
「17歳で跡を継いで半世紀が経っちゃったね」と歯切れのよい口調で語る店主の岩崎博茂さん。
店内に掛かった創業当時の写真が店の歴史を物語る。
路地に佇む小さな大衆食堂。
~こちらもオススメ~
チキンかつ定食◎700円
豚生姜焼き定食◎850円
とんかつ定食◎1000円いわさき
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笑顔に癒やされる『キッチン大正軒』のスコッチエッグ定食
大正時代から続く肉屋直営ならではの満足感
昼も夜もサラリーマンが列をなしている洋食店。並んでいる間に注文をとり、席に着いた頃に「いただきます」のちょうどよいタイミング。メニューは30種以上と豊富で、揚げ物や焼き物を組み合わせたボリューム&スタミナ満点の定食が人気だ。スコッチエッグ定食950円はメンチカツとハンバーグを同時に食べているような贅沢感。スコッチエッグとエビフライで1000円という数量限定のランチタイムサービスの定食も!
"おねえさん"と呼ばれている店主の高橋扶佐さんのお店はアットホーム!
1914年(大正3)に創業した精肉店が母体。 L字型のカウンター席のほかテーブル席が1卓。
~こちらもオススメ~
ミックスB定食
(豚しょうが焼き・エビフライ・アジフライ)◎1050円
ロースかつ定食◎1000円
カラメン定食(鶏唐揚げ・メンチカツ)◎950円キッチン大正軒
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メインが2品!『やえす初藤』の日替わり定食
朝から定食が充実!八重洲を代表する大衆酒場
八重洲地下街ができる以前は、昭和20年代から八重洲中央口前で「大衆酒場金楽」として愛されてきた歴史を持つ。食材は毎朝築地から直送、板前による旬の料理と定食が安くて旨い。この界隈では貴重な朝定食も充実していて、朝7時開店からフル回転だ。昼の人気は日替わり定食880円。月曜はトンカツ&イワシつみれ汁、火曜は肉豆腐&マグロというように決まってメインのおかずが2品付く。
「日替わり定食は季節によりいろいろ楽しんでもらいたい」と店長の羽田勝人さん。
無垢材をふんだんに使用したすがすがしい店内。なお、朝は食券制。
~こちらもオススメ~
焼魚定食◎850円
お刺身定食◎910円
天ぷら定食◎910円やえす初藤