携帯電話ですぐに時間がわかる昨今では、あまり街角の時計を見上げている人はいないのかもしれない。
しかしそんな今だからこそ生き証人のようにエキマチを見守ってきた、形やしかけも異なる多彩な時計たちに注目したい。
取材・文=名嘉山 直哉 撮影=川上 博司
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〔7〕 セイコー マリオン・クロック
からくり時計のエポックメイキング
有楽町で待ち合わせするなら、有楽町マリオンのマリオン・クロック前がおすすめ。この時計は、毎正時に4体のこびとの楽団が音楽を奏でるからくり時計。1984年に完成した後、全国の商業施設でからくり時計ブームが起きたのだとか。かわいい人形たちの演奏を眺めていたら「待ち人来ず」状態でもきっと楽しい。
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〔8〕 丸の内駅舎の時計
こだわりが詰まった装飾はじっくり見る価値あり!
2012年の復原工事によって、開業当時の姿が忠実に再現された東京駅・丸の内駅舎。駅舎のシンボルともいえる南北のドームには、直径1.4mの大時計が鎮座する。文字盤には、駅開業当時と同じローマ数字を使用。リボンのレリーフは職人が銅板からしつらえるなどこだわりが随所に光る。足を止めて、じっくりと鑑賞しよう!
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〔9〕 大手町野村ビルの時計
高層ビルとドッキング!レトロなゴシック調の時計塔
1932年に建設された7階建ての「旧日清生命館」の時計塔と、1994年に竣工した近代的な高層ビルが融合した大手町野村ビル。一見不思議な組み合わせだが、見事な調和を保っている。時計塔部分は、日比谷公会堂などを手がけた佐藤功一の設計。ゴシック調のレリーフに彩られた文字盤が、オフィス街に時を告げる。
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〔10〕 旧東京中央郵便局 名残の時計
シンプルさに宿る堅実の精神
竣工1931年の旧東京中央郵便局が局舎の一部を残して、2013年、商業施設KITTEにリニューアル。当時の趣が色濃く残る昭和モダンな佇まいは、道行く人々の目を楽しませてくれる。旧局舎時代の壁面時計は、いまなお現役。文字盤と針だけの無駄を削いだデザインは、公共機関をルーツにもつ施設の堅実さを象徴しているかのよう。夜のライトアップも見もの。
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