ガード下、ディープ散歩

神田発、東京駅経由、有楽町行き。
エキマチエリアを縦断するガード下の散歩は、
魅力的な夜の風景がいっぱいなのだ。

取材・文=増山 かおり 撮影=丸毛 透

 夕方を過ぎると、ガード下の店には仕事を終えた人々が集まり、ガタンゴトンと響く電車の音にも負けない賑やかな酒盛りが始まる。こんな光景を横目に、頭上を見上げてみてほしい。ガードのレンガに、随分と年季が入っていることに気づくはずだ。
 新橋から続くこのガードが生まれたのはなんと1910年(明治43)のこと。日本初の高架線が造られたのだ。その後東側に新幹線の線路が造られたため、高架線完成当時の姿は西側に残されている。メダリオンと呼ばれる丸い飾り跡や、赤レンガと黒いレンガが交互に配置された装飾など、所々デザインが違うことに気付く。高架橋に昔の地名が残っているのも面白い。
 現在、耐震補強工事のため、所々囲いが作られ、テナント店はどんどん移転しつつある。このまま明治時代から続く光景がなくなってしまうのだろうか? 「大丈夫ですよ、レンガを残したまま、補強してるんです」。工事現場の人の言葉に、ホッと胸をなでおろした。この高架橋は、これからも当時の姿を抱えて生き続けるようだ。はしご酒のついでにガード下を西へ東へ行き来して、東京のきらびやかな光景と、明治から昭和のドサクサを感じさせるノスタルジックな光景とを旅してみよう。

ガード下、ディープ散歩
    • A

    ガード下で店が入っていないところには、年季の入ったレンガ塀がお目見えする。写真は有楽町駅界隈のもので、明治時代に造られたもの。

    • B

    焼きとんの名店『登運とん』の脇にある路地。新橋に向かう路地で、山下橋ガードへの近道になっている。この細い路地にも居酒屋が並ぶ。

    • C

    線路下にときどき見える鉄骨は、その意匠に思わず足を止めて見入ってしまう。写真は龍閑橋架道橋のガード下の様子。

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