ぶらりエキマチ散歩
有楽町

Vol. 20(2018年08月10日号)有楽町 1・2丁目

現代に紡がれたエンターテインメント街

有楽町のガード西側が激変した。『東京ミッドタウン日比谷』が開業し、『日比谷シャンテ』がリニューアル。平日も人々で賑わいを見せている。
この界隈(日比谷)は明治期からずっと、ハイカラなエンターテインメントの街だ。帝国ホテル裏には「鹿鳴館」があり、1930年代には東京宝塚劇場(現東宝)の初代社長が「有楽町アミューズメント・センター構想」を描いて、東京宝塚劇場、日比谷映画劇場、有楽座がオープン。さらに戦後、芸術座、みゆき座、日比谷スカラ座、日生劇場が続々と幕を開け、名実ともに映画演劇の街へ発展を遂げたのだ。
また、ビジネス街の顔もあり、1930年(昭和5)竣工の「三信ビルディング」は、2層吹き抜けのアーケードや、アールデコのディテールが美しく、1960年(昭和35)竣工の「日比谷三井ビルディング」は、日比谷公園など周辺環境との調和を試みた、日比谷の象徴的オフィスビルだった。しかし、三信ビルディングの老朽化で閉館が決まると、今回の再開発が発進。『東京ミッドタウン日比谷』は、新しいばかりでなく、三信ビルのデザイン、日比谷三井ビルの哲学をも受け継ぐことになった。
「多様な人々が集う場所。なので、多様な文化を多様に発信したいんです」と、語るのは、東京ミッドタウン日比谷『billboard cafe&dining』の佐藤優太さんだ。音楽を基軸に、月1でDJイベントを催したり、イベントやアーティストに合わせた書籍やDVDなども販売する。また、日比谷シャンテ『HMV&BOOKS 日比谷コテージ』店長の花田菜々子さんは「映画演劇の街だからこそ、女性がリラックスして非日常を味わえる本屋にしたくて」と笑う。シアターだけじゃなく、集う店々までも独自に文化発信し〝日本版ブロードウェイ〟へと邁進(まいしん)しているようだ。
一方、隣接するガード下は変わらぬ風情を引き継ぐ。耐震工事で休業する場所もあるが、ガード下『ふじ』の五十嵐義幸さん曰く「ここは大丈夫。昭和30年代に、レンガの下にモルタルを入れて耐震しているから」。もつを焼く煙を浴びながら、四季の風、雨の匂い、移ろう街の景色を体感しながらジョッキを傾ける愉悦といったら。そのエキゾチックな風情に惹かれて、昨今は外国人観光客も少なくない。
昭和と、超最先端の現代が隣り合わせに存在する有楽町は、今一番、ホットな場所。エンターテインメントの幅は広がるばかりだ。

  • 往時の風景 (1)

劇場街の面影残す『日比谷シャンテ』

往時の風景 (1)

昭和初期、現在『日比谷シャンテ』のある場所に日比谷映画劇場と有楽座が建つと、界隈は劇場街へと様変わり。また、日比谷通り沿いには、優美な三信ビルディングがあり、戦後、日比谷三井ビルディングが隣接した。
  • 往時の風景 (2)
  • 往時の風景 (2)

『東京ミッドタウン日比谷』の遺伝子

往時の風景 (2)

『東京ミッドタウン日比谷』は、昭和初期建築の『三信ビルディング』(1枚目)と、1960年竣工の『日比谷三井ビルディング』(2枚目)跡地に建設。なかでも三信ビルディングは、吹き抜けアーケードの天井アーチが優美だった。
  • 日比谷シャンテ

劇場街の憩いの空間がリニューアル

日比谷シャンテ

昨年、開業30周年を迎えたのを機に、今春3月23日にリニューアル。グランドピアノをイメージしたユニークな外観を活かす、ブロンズ調の桜の花びらの装飾がエレガントだ。周辺劇場とのコラボや、観劇前後のショッピング、食事、お茶を楽しむのにうってつけ。
◎地下鉄日比谷駅A5出口直結。JR有楽町駅日比谷口から徒歩5分。千代田区有楽町1-2-2
☎03・3591・9001(代)
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  • キャトルレーヴ
  • キャトルレーヴ

夢の世界の余韻に浸りたい

キャトルレーヴ

宝塚歌劇のオフィシャルショップで、プログラム、舞台写真のほか、公演後半には、上演中のDVDなども販売され、観劇前後に立ち寄るファンは少なくない。また、日比谷店のカスタマイズCDサービスは、スターの盤面で好きな曲だけを集めたCDが作れるうえ、タイトルも思いのまま。プレゼントにも人気だ。
◎11:00~20:00。日比谷シャンテB1
☎03・3503・8289
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  • 日比谷シャンテ 女子トイレ

劇場街の回顧写真展は女性の特権

日比谷シャンテ 女子トイレ

『日比谷シャンテ』前身の、日比谷映画劇場や有楽座をはじめ、1930年代以降の劇場街の姿がモノクロ写真で常設展示。会場はなんと『日比谷シャンテ』地下2階の女子トイレだ。男性禁制、女性だけのお楽しみだ。
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  • HMV&BOOKS 日比谷コテージ
  • HMV&BOOKS 日比谷コテージ

のんびり回遊したくなる非日常空間

HMV&BOOKS 日比谷コテージ

女性たちの心に寄り添う、本、音楽、映像がずらり。近隣の劇場で上演・上映する作品から、女性に薦めたい作品コーナーもあり、衣装などの展示、原作本、出演者関連の本、音楽、DVDなどの作品も販売する。また、「女性のための本屋」と話す店長の花田菜々子さんの著作コーナーも。手にしているのは、昔話に登場する女性たちの心情を大胆に描いた『日本のヤバい女の子』だ。
◎11:00~20:00。日比谷シャンテ3F
☎03・5157・1900
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  • 東京ミッドタウン日比谷
  • 東京ミッドタウン日比谷

空中公園にも心踊る有楽町の新オアシス

東京ミッドタウン日比谷

2つのオフィスビル跡地が地上35階、地下4階の大型複合施設となって2018年3月29日にオープン。2階へと誘う外階段の「日比谷ステップ広場」には期間限定スイーツショップもあり、涼を取るのもいい。また、日比谷公園と皇居外苑を望む6階「パークビューガーデン」は爽快この上なし! 
◎地下鉄日比谷駅A11・A5出口直結。千代田区有楽町1-1-2
☎03・5157・1251(コールセンター)
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  • billboard cafe&dining
  • billboard cafe&dining

音とともに味わう上質な空間

billboard cafe&dining

200枚を超えるLPジャケットの回廊を抜けると、世界的音楽ブランド・ビルボード初のカフェ。ランチはビルボードプレート2480円を。季節替わりの無国籍料理10種をピタなど3種類のパンで味わうオープンサンドだ。また、メーカー別ハイエンド機器を揃えた個室(要予約)には、アナログプレーヤーが使える部屋も。上質な音を楽しみたい。
◎11:00~22:00LO(ランチ14:30LO、カフェ15:00~、ディナー17:00~)。東京ミッドタウン日比谷3F
☎03・6273・3355
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  • 東京ミッドタウン日比谷 日比谷ゴジラスクエア
  • 東京ミッドタウン日比谷 日比谷ゴジラスクエア

新旧、2体のゴジラに遭遇!

東京ミッドタウン日比谷 日比谷ゴジラスクエア

日比谷シャンテ前『日比谷ゴジラスクエア』にお目見えしたのは、全長3mの迫力ある「シン・ゴジラ」ベースの新ゴジラ像。旧ゴジラ像は、東京ミッドタウン日比谷4階『TOHOシネマズ 日比谷』のロビーに姿を現す。
© TOHO CO.,LTD.
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  • 東京ミッドタウン日比谷 地下通路
  • 東京ミッドタウン日比谷 地下通路

地下鉄に直結した美しき地下通路

東京ミッドタウン日比谷 地下通路

地下鉄と、2つの施設を往来できる地下空間が優美な風情。旧三信ビルディングの吹き抜けアーケードを東京ミッドタウン日比谷が踏襲。スターの手形を移設した日比谷シャンテの地下通路「ザ・スター・ギャラリー」へと誘う。
  • 変わらない有楽町 ガード下

サラリーマンの聖地は今 東京の観光スポット

変わらない有楽町 ガード下

赤レンガが風情を醸すJRのガード下。その一角、半円形の南北通路両側に、小さな店が肩を寄せ合うようにひしめいている。1953年当初から続くのは、もつ焼き店2軒と『天ぷら天米』。昔も今も仕事帰りの人を迎え入れるオアシスだが、昨今は外国人観光客や女性客の姿も。ゆるりと味わうなら、昼間か雨の日が狙い目だ。
◎千代田区有楽町2-1-10
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  • ふじ
  • ふじ

名物の煮込みともつ焼きで一杯!

ふじ

芳しい煙に誘われれば、1953年から営むもつ焼きの店。「エアコンなんてない吹き抜けだから、夏は暑いし冬は寒い」と、3代目の五十嵐義幸さんは苦笑するが、丁寧に仕込まれた柔らかなもつ煮込み388円や炭火焼きのもつ焼き162円~をビールで味わう多幸感は、たまらぬひとときだ。
◎地下鉄日比谷駅A5出口徒歩2分。17:00~22:00LO、日・祝日休。千代田区有楽町2-1-10
☎03・3591・2295
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  • 変わらない有楽町 裏通りの飲み屋街

ガード沿いのめくるめく赤提灯

変わらない有楽町 裏通りの飲み屋街

夜の帳が下りはじめると、ガード沿いの店の看板、提灯が点りだし、路上に設けられた席に人々が集いだす。裏通りの飲み屋街は開放的な気分で酒を酌み交わせる飲兵衛天国。
◎地下鉄日比谷駅A1出口・銀座駅C1出口すぐ。千代田区有楽町2-1
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