ぶらりエキマチ散歩
日本橋

Vol. 21(2018年10月10日号)日本橋2丁目

老舗が林立する界隈で始まった、新たなる挑戦

4年にわたる再開発が終盤戦を迎え、9月25日、中央通り沿いに新たな顔『日本橋髙島屋S.C.』が誕生した。従来の『日本橋髙島屋』(本館)に並び、新館がそびえ立ち、ポケモンセンタートウキョーDX&ポケモンカフェのある東館、ウオッチメゾンと合わせて4館で構成。来春には、本館、新館、東館の3館を合わせ、約6000㎡の広さを誇る、都内最大級の屋上庭園も完成予定だ。日本橋で空中散歩できるとはしゃれた話だ。また、仮店舗営業だった老舗たちが装いも新たに創業地へ帰還。伝統と革新の底力も見せている。
界隈は江戸時代より続く老舗が多い。『ここ滋賀』支配人の竹岡真彦さんは、「日本橋の南側には髙島屋、丸紅、ふとんの西川産業など、近江商人が創業した店や企業が今も多いんです。そんなゆかりの地に仲間入りできて嬉しいです」と、顔をほころばす。
ひと足早く、2015年に竣工した東京日本橋タワーの敷地にも、江戸期創業の和紙舗『榛原』がある。「現存する榛原のオリジナルデザインを基に、和紙の魅力を身近に感じられる、そんな和紙や文具に力を注いでいます」と、日本橋本店の田村英明さん。創業200年余りだが、伝統を守り続けるのみならず、さらなる発展を視野に、現代の息吹を吹き込んでいる。
けれど、裏路地へ回れば、戦後建築を活用した『日本橋 玉ゐ 本店』をはじめ、木造店舗が肩寄せ合う区画があったり、雑居ビルが林立したり。
『西村画廊』の西村建治さんは、「アートの世界では、80歳を超えた巨匠が最新機器のiPadを使って表現しています。歳を重ねても尚、前へと進むその姿が、100年クラスの老舗が集う日本橋と重なってみえるんですよ」と話す。しなやかに前進する老舗と、新たな店の挑戦。共に、次の百年を紡いでいこうという気概が漲(みなぎ)っている。

  • 日本橋髙島屋S.C.(本館)
  • 日本橋髙島屋S.C.(本館)

和の要素を取り入れた近代建築は国指定の重要文化財

日本橋髙島屋S.C.(本館)

1933年(昭和8)竣工の建物は、西欧様式に日本伝統の技を加味。大理石に釘隠しを施す正面入り口、アンモナイトが見つかる階段、天井モチーフなど、意匠・デザインの完成度が高く、2009年、百貨店初の国の重要文化財に指定された。
◎地下鉄日本橋駅B2出口直結。10:30~19:30(B2・8Fレストラン・特別食堂は11:00~21:30)、不定休。中央区日本橋2-4-1
☎03・3211・4111
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  • 日本橋髙島屋S.C.(新館)
  • 日本橋髙島屋S.C.(新館)

新館がオープンして、日本橋髙島屋S.C.が誕生

日本橋髙島屋S.C.(新館)

地下1階、地上7階に100を超える専門店が集う新館が9月25日に開業。本館、東館、ウオッチメゾンと併せ、巨大なショッピングセンターが登場した。しかも、本館と新館の間には歩行者専用道路として、ひさしを天高く設けた日本橋ガレリアが誕生した。
◎日本橋駅B4出口直結。10:30~20:00(一部店舗は異なる)、不定休。日本橋2-5-1
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  • タカシマヤ ウオッチメゾン
  • タカシマヤ ウオッチメゾン

時計だけを集めた館は、外観も美しい

タカシマヤ ウオッチメゾン

世界最大級の品ぞろえで2015年に開館。なかでも「HAMILTON」はプレスリーが愛用したベンチュラがクールだ。アフターケアや修理なども万全。また、チームラボによるデジタルアート作品を常設展示。人が立つと、流れる砂が割れてあでやかな花が姿を現す。
◎日本橋駅B3出口すぐ。10:30~19:30、不定休。日本橋3-1-8
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  • ビルの隙き間で生き残る昭和な路地慕情
  • ビルの隙き間で生き残る昭和な路地慕情

ビルの隙き間で生き残る昭和な路地慕情

『日本橋髙島屋S.C. 新館』が入る超高層ビル裏手に、木造の2階家が肩寄せ合う区画が。また、中央通りを挟んだ西側裏手の路地でも、昔ながらの店の看板が人々をいざなっている。新旧混沌!
  • 丸善 日本橋店
  • 丸善 日本橋店

「書店」の枠を越えた日本橋店のお楽しみ

丸善 日本橋店

1869年(明治2)、医者の早矢仕有的が創業。体を気遣った牛肉ゴロゴロの煮込みがハヤシライス発祥との説も。当時に近い味は、缶詰(ブック型箱2缶入り)2808円で。3階『Maruzen Café』の早矢仕ライス1080円は豚肉がルゥに溶けた改良版だ。また、『ワールド・アンティーク・ブック・プラザ』も必見。ピカソなどの画家が手がけた挿絵本、古写真、西洋古地図など、洋古書はアート性・学術性高し。
◎日本橋駅B3出口すぐ。9:30~20:30(カフェ20:10LO、ワールド・アンティーク・ブック・プラザ10:00~20:00)、無休。中央区日本橋2-3-10
☎03・6214・2001
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  • 山本山 ふじヱ茶房
  • 山本山 ふじヱ茶房

老舗の新たな幕開け。伝統の技を五感で体感

山本山 ふじヱ茶房

『山本山』は1690年(元禄3)に煎茶商として創業。やがて海苔も扱い、二大看板に。そんな老舗が大胆に、モダンかつ洗練されたデザインをコンセプトに掲げた旗艦店を、9月25日にオープン。厳選のお茶と海苔を味わい、触れ、知るなど、体験もできるように。喫茶では独創的なメニューも用意。ゆったりくつろぎたい。
◎日本橋駅B4出口すぐ。10:30~20:00、無休。日本橋2-5-1日本橋髙島屋三井ビルディング1F
☎03・3271・3273
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  • 榛原(はいばら)
  • 榛原(はいばら)

伝統技と美しき色柄が融合した和紙と文具

榛原(はいばら)

和紙舗として1806年(文化3)に創業。下の複製版画(写真下)は幕末・明治の頃の店頭の様子だ。現在はモダンな建物で、外壁モチーフは榛原千代紙。この明治・大正期デザインの色硝子柄は、御朱印帳1836円などの文具小物にも。他にも色柄多彩だ。店で手結びした金封の檀紙(だんし)たとう(小)紅白花結び1296円なども注目。
◎日本橋駅B6出口すぐ。10:00~18:30(土・日は~17:30)、祝日休。日本橋2-7-1東京日本橋タワー
☎03・3272・3801
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  • ここ滋賀
  • ここ滋賀

近江商人のまちから滋賀の情報を発信!

ここ滋賀

近江商人ゆかりの地に、滋賀(近江)のアンテナショップが2017年秋、出現。1階には郷土料理の鮒(ふな)ずしをつまみに滋賀県内33蔵の日本酒が飲める地酒バーや、特産品・伝統工芸品などが揃うマーケットがあり、2階にはレストランも。日本橋交差点を臨む屋上テラスも居心地抜群だ。
◎日本橋駅B6、B8出口すぐ。1階10:00~20:00(バーは~23:00)、2階11:30~13:30LO・18:00~22:00LO、無休。日本橋2-7-1 
☎03・6281・9871
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  • 日本橋 玉ゐ 本店
  • 日本橋 玉ゐ 本店

路地裏の戦後建築で味わう穴子尽くし

日本橋 玉ゐ 本店

1953年築の元酒屋の趣にほれた元寿司職人が、15年前から営むのが穴子専門店。名物は箱めし(中箱)2950円で、ふくよかな身と香りをまずはそのまま、2杯目は薬味と、3杯目は出汁がけで。あ巻き、あなご酒など、穴子尽くしにも感涙。
◎日本橋駅C4出口徒歩1分。11:00~14:00LO・17:00~21:00LO(土・日・祝日は11:30~15:00LO・16:30~20:30LO)、無休。日本橋2-9-9
☎03・3272・3227
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  • 西村画廊

日本現代美術界の草分けとされる存在

西村画廊

1974年、銀座で創業。デイヴィッド・ホックニーなど英国系現代美術を日本に紹介。また、舟越桂氏、三沢厚彦氏など、時代ごとに日本の若手作家も発掘した。2006年の日本橋移転後も、年に5回開催する展覧会はデジャブ感のない個性派ぞろい。「予想ができないところがアートの面白さ」と、西村建治さん。
◎日本橋駅B4出口から徒歩3分。10:30~18:30、日・月・祝休。日本橋2-10-8日本橋日光ビル9F
☎03・5203・2800
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