ぶらりエキマチ散歩
京橋

Vol. 23(2019年02月10日号)京橋

ギャラリーだけじゃない 街に息づくアート魂

京橋といえば、画廊、ギャラリーが軒を連ね、アートの街と呼ばれている。「日本橋エリアも含めて150軒とも200軒ともいわれています。雑居ビルの上階に隠れた店もありますから」とは、『林田画廊』の林田泰尚さんだ。
京橋のアート遍歴は堂に入っている。江戸時代は歌川広重をはじめ、絵師が暮らし、大正時代になると30~40軒ほどの美術店が集まって、かの北大路魯山人も出店。さらに、高度成長期、バブルを経て、茶道具、骨董、土偶、絵画に、現代アートなど、アートスポットは多岐にわたった。お気に入りを見つけるなら、毎春に催される『東京アートアンティーク』に繰り出すのがいい。「画廊店主は大体が人見知りなんです。でも、本当は美術談義がしたくてたまらない。だから、イベントの時はみんなしゃべる気満々。アートは遊ばなきゃ、楽しくないですからね」
改めて京橋を見渡すと、新旧のアートが随所にちりばめられている。
『レストランサカキ』には近隣の画廊から贈られた写真や、常連画家の絵画が飾られ、『Dobro』ではクロアチアの絵画やヨーロッパアンティークが店を彩っている。また、江戸文化を愛してついに店を開いたのは『京はし 満津金』の細田剛さんだ。「ここいらは日枝神社の氏子で、天下祭りの山王祭を未来へと引き継ぐのが役目」と、目を輝かす。祭と関わりの深い江戸町火消しを、京橋の竹河岸にちなんだ竹製の紙にプリントした一筆箋やしおりが自慢だ。『京橋エドグラン』には、そんな街の人たちの心の内を表すかのごとく、見事な神輿(みこし)も展示されている。さらに、ハイカラなことをいち早く取り入れてきた『明治屋京橋ストアー』も2月末までイルミネーションで冬の夜を謳歌。一つ一つの小さなアートの灯が、街全体をきらめかせ、活気づかせているかのようだ。

取材・文=佐藤 さゆり 撮影=丸毛 透 

  • TOKYO INSTITUTE(インスティテュート) OF PHOTOGRAPHY

ギャラリーにとどまらない写真の発信地

TOKYO INSTITUTE(インスティテュート) OF PHOTOGRAPHY

メインフロアは2週間ごとに展示が変わり、ニューヨークの国際写真センターをモデルにしたブルーウォールも印象的。ギャラリー展示だけではなく、写真家を目指す人に向けたワークショップ、世界中から募るコンペティションなども主催。作家を支援する総合写真センターだ。
◎地下鉄銀座線京橋駅2番出口徒歩2分。12:00~19:00、月・火休。中央区京橋3-6-6エクスアートビル1F 
☎03・5524・6994
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  • 京はし 満津金(まつきん)
  • 京はし 満津金(まつきん)

京橋っ子の地元愛を形にした江戸小物

京はし 満津金(まつきん)

生まれも育ちも京橋の店主、細田剛さんは印刷所を営む傍ら、本業の技を活かして江戸小物を制作。明治初期より続く地元の老舗京すし4代目岡田親(ちかし)さんが描く錦絵や町火消しを文具(200円~)などにし、町火消しの半纏に用いる腰文字で京橋の町名をデザイン。注染手ぬぐい1200円など、ここでしか手に入らないものばかりだ。
◎京橋駅6番出口徒歩1分。12:00~19:00、日・月・祝日休。京橋2-6-5
☎080・3543・2668
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  • 東京アートアンティーク ~日本橋・京橋 美術まつり
  • 東京アートアンティーク ~日本橋・京橋 美術まつり

ワークショップやイベントが目白押しの3日間

東京アートアンティーク ~日本橋・京橋 美術まつり

京橋・日本橋の画廊、ギャラリーのうち、今年は100軒近くが参加予定。店ごとにトークショーや作家が在廊してのワークショップなど、大人も子どもも楽しめる企画が待ち受けている。「アートは知的な遊び。楽しくなくちゃ」と、主催メンバーの一人、『林田画廊』の林田泰尚さん。オーディオガイド、パンフレットなどもある。◎4月25~27日開催。時間は各店に準じる。
◎4月25~27日開催。時間は各店に準じる。
☎03・3567・7778(林田画廊)
  • 明治屋 京橋ストアー
  • 明治屋 京橋ストアー

横浜発祥のハイカラ文化が花咲いた店

明治屋 京橋ストアー

1933年(昭和8)当時(1枚目の写真右)の最新鋭ビルには、6~8階にハイカラな中央亭(現在、地下1階にある『京橋モルチェ』)があり、文人墨客もとりこにした。今も天然石の床にアンモナイトなどの化石が潜み、柱や梁も往時のまま。国産ジャムを初めて販売したときのポスターや、クリスマス飾りが評判を呼んだ銀座店など、史料写真も展示。改装前の姿をパッケージにした「京橋カリー」399円も人気。
(1枚目写真右 提供:明治屋)
◎京橋駅7番出口徒歩すぐ。10:00~21:00、無休。京橋2-2-8
☎03・3271・1134
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  • 京橋エドグラン
  • 京橋エドグラン

伝統の技と現代アート。 2つの芸術コーナーにくぎ付け

京橋エドグラン

2016年築の近代的高層ビルからは地元京橋にはせる思いが感じられる。まずは1階の神輿蔵。1954年(昭和29)の日枝神社大祭『山王祭』の年にあつらえた、京橋二丁目西町会の神輿、獅子頭を常設展示。また、地下1階の通路とエレベーターホールは『タウンミュージアム』と題し、京橋出身の北原照久氏のコレクションを展示。
◎京橋駅7番出口徒歩すぐ。京橋2-2-1
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  • Dobro(ドブロ)
  • Dobro(ドブロ)

美しくしつらえた日本唯一のクロアチア料理店

Dobro(ドブロ)

2002年のサッカーW杯でクロアチア代表を世話したオーナーが一念発起。アンティークでしつらえた2階でコースが、海辺の絵画が印象的な1階でカジュアルにアラカルトが食べられる。本マグロのカツレツ レア仕立て2380円や、帯状パスタでチーズを巻いたモチモチのシュトゥルクリ1890円が名物。果実味溢れるワインとともに。
◎京橋駅6番出口徒歩2分。11:30~13:30LO・17:30~21:30LO、無休。京橋2-6-14日立第6ビル1F
☎03・5250・2055
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  • レストラン サカキ
  • レストラン サカキ

伝統の洋食も、フランス仕込みの技で進化

レストラン サカキ

4代目店主の榊原大輔さんはフランスで腕を磨き、老舗洋食店を2003年に継いだ。夜と土曜はフレンチだが、平日昼に創業以来の洋食を出すのは「昼休憩でもゆったり味わえるように」との思いから。中でも、薄衣からぷりっぷりのエビが香味を放つエビフライ1300円は忘れ難き味。
◎京橋駅6番出口徒歩2分。洋食は平日11:30~13:40LO、フレンチは18:00~20:30LO(土は12:00~13:30LOも営業)、日・祝日休。京橋2-12-12サカキビル1F
☎03・3561・0512
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  • 京橋マルシェ
  • 京橋マルシェ

大根河岸の歴史を現代流に受け継ぐ

京橋マルシェ

京橋川は青物市場の『大根河岸』があった地。その流れを汲み、にぎわいを取り戻すべく2018年4月から月2回催している。出店は日本各地から。季節折々の旬の野菜や果実、非加熱のイスラエル産はちみつ、焼き菓子、棚田米など、15~25店が集う。
◎京橋駅3番出口徒歩すぐ。第1土曜11:30~18:00・第3火曜11:30~19:00、小雨開催・荒天中止。京橋3-1-1東京スクエアガーデン1F貫通通路
☎090・9143・7239
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