ぶらりエキマチ散歩

Vol. 25(2019年06月10日号)日本橋中央通り

空と光を肌で感じる江戸以来の大通り

日本橋をまたいで南北を貫く中央通りには、老舗や商業施設が林立。ここに天空を感じるスポットが、にわかに増えている。中でも、2大百貨店では今春、そろって屋上庭園がオープンした。一つは1673年(延宝元)に呉服店として創業した『日本橋三越本店』。1935年(昭和10)の現建物の建立時に花の咲く屋上庭園を備え、以来、音楽会、ゲレンデ、ロープウエーなど、新たな試みを打ち出し続けてきた。そして、約2年ぶりに開園した屋上には、新たに皇居の豊かな森に倣(なら)った植生を配し、鏡面の池が花や緑を映し出す。
また『日本橋髙島屋S.C.』本館は、新館・東館と空中橋でつながり、約6000㎡もの広さを誇る屋上庭園を誕生させた。1933年(昭和8)の開店時にあった日本庭園と七福殿に加え、ひっそりと祭っていた笠森稲荷にも来館客が詣でられるように。共に、自然と都会、歴史と現代を融合した、次の百年につながる空間作りが印象的だ。
さらに、昨年開業した三井ガーデンホテル日本橋プレミア9階に、中央通りを見通せる窓辺席を用意した『バー松』も登場。「夕暮れや夜、雨に煙る日もいいんですよ」と、バーテンダーの冨士原希(のぞみ)さん。「日本橋は、高層ビルの途中に緑を植えるのが習わし。向かいに開業する『コレド室町テラス』上階にも緑を植えていますよ。ほら」
高層階ばかりじゃない。沿道には2㎞にわたって花畑も続く。冬のパンジー、春のチューリップ、夏のサルビア、秋のフレンチマリーゴールドと、植え替えしながら人々の心を和ませる『はな街道』は、地元企業や町会が花奉行、水奉行としてサポート。
通り沿いには洗練された見立てで楽しむ骨董(こっとう)店、西洋理髪の歴史年表を飾るヘアサロン、和菓子舗、洋食店、カフェなど、和洋の老舗も点在。回遊しながら、江戸と変わらぬ風を感じたい。

  • 日本橋三越本店〔1〕

5月1日に本館屋上がリモデル!

日本橋三越本店〔1〕

日本庭園、野原など自然を感じる空間が誕生。さらに9月16日まではビーフステーキ、チキングリルなど、BBQの屋上ビアガーデンや、日中からグラスを傾けられるフードカートも用意。空の下を満喫したい。
◎三越前駅B5出口直結。10:00~19:00(グリルテラス日本橋は17:30~21:00LO、土・日・祝日は11:30~14:30LO・17:30~20:30 LO フードカートは11:00~21:00LO、土・日・祝日は~20:30LO)、荒天時休。
☎03・3241・3311(大代表)
Google Map
  • 日本橋三越本店〔2〕

日本橋三越本店〔2〕

江戸期から親しまれる三囲(みめぐり)神社と活動大黒天。改めて御霊(みたま)入れされた。
  • 日本橋三越本店〔3〕
  • 日本橋三越本店〔3〕

日本橋三越本店〔3〕

フードカートは自家製チーズが自慢のピッツァ、ジェラート、COEDOビール&酒スタンドなど、5軒が連なる。グリルテラス日本橋は飲み放題付き4860円~(予約が確実)。
  • バー松
  • バー松

和の精神(スピリット)を味わう天空バー

バー松

窓辺に座れば、刻々と変わる空の色、通りの様子にくぎ付け。加賀料理の料亭『浅田』直営で、カクテルにもこうじのスピリッツ、和三盆シロップ、さんしょうなどが。モダンな和テイストに心躍る。隣の『日本橋浅田』から運ばれるフードも楽しみ。チャージなし、サービス料別。
バーテンダーの冨士原さん(二枚目右)が作るシグニチャー・カクテルのマツ1728円は甘くスパイシー。カツサンド1620円と味わいたい。テラス席も気持ちいい。
◎JR新日本橋駅出口3すぐ。17:00~24:00LO(日・祝日は23:30LO)、無休。日本橋室町3-4-4 三井ガーデンホテル日本橋プレミア9F
☎03・5542・1700
Google Map
  • 日本橋髙島屋S.C.〔1〕

歴史と自然と夜を満喫する空中散歩

日本橋髙島屋S.C.〔1〕

噴水、ローズガーデン、橋を渡り新館・東館テラスへと、歩くたびに情景が変わる屋上庭園が3月に誕生。ヘルシーなスムージーが人気のカフェ、グランピング施設がある他、9月下旬まではBBQビアガーデンも登場。飲み放題はカクテル、10種のワイン・スパークリングワイン付き。
◎日本橋駅B2出口直結。10:30~19:30(FEEL GREEN CAFEは19:00LO ROOF TOP BBQビアガーデンは17:00~21:00入場)、不定休。日本橋2-4-1 本館屋上
☎03・3211・4111
Google Map
  • 日本橋髙島屋S.C.〔2〕
  • 日本橋髙島屋S.C.〔2〕

日本橋髙島屋S.C.〔2〕

本館改装前より鎮座していた笠森稲荷が初お目見え。カフェ前に設置された魅力的な2つのテントは、予約制のグランピング施設だ。
  • 日本橋髙島屋S.C.〔3〕
  • 日本橋髙島屋S.C.〔3〕

日本橋髙島屋S.C.〔3〕

緑と花々に彩られた本館屋上。ビアガーデンは多彩なタパス、ハーブマリネしたアンガスビーフ、チキンなどと盛りだくさん。2時間5184円~。カフェでは香り爽やかなパイナップルスムージー702円を。グリーン・ベジなどもあり。
  • COREDO室町テラス

新たな商業施設が今秋に開業

COREDO室町テラス

中央通りと江戸通りに面した一角に来たる9月27日、複合施設がオープン。「「価値ある時間」を、過ごす場所。」をコンセプトに、日本初2店舗、関東初5店舗を含む31店がにぎわいを創出。開放的な大屋根広場にはカフェやダイニングが並び、江戸通りには落ち着いたレストラン、中央通りにはセレクトショップ、パサージュには夜も活気あふれる飲食店が登場する予定だ。
◎JR新日本橋駅地下直結。日本橋室町3-2-1
Google Map
  • 三重テラス
  • 三重テラス

伊勢商人が集う日本橋北から発信

三重テラス

『三越』『にんべん』『木屋』など、三重にルーツを持つ大店が少なくない日本橋北側。ここに2013年、三重県のアンテナショップが東京初出店した。伊勢うどん、伊勢茶などが定番土産だが、萬古焼、松阪木綿など工芸品も美しい。体験イベントも多数ある。三重の食材を使用した料理が楽しめるレストランも併設。
◎三越前駅A9出口すぐ。10:00~20:00(レストランは11:00~22:00 LO)、無休。日本橋室町2-4-1 YUITO ANNEX 1・2F 
☎03・5542・1033(ショップ)
Google Map
  • 海老屋美術店
  • 海老屋美術店

愛しき骨董の、見立ての妙に感服

海老屋美術店

元は京都御所の御用職で、遷都に伴い現在地へ。9代目の三宅正洋さんは「江戸時代、オランダ要人の常宿が日本橋室町にあったんですよ」と、オランダ貿易がもたらした品を中心に収集。「骨董は見立てで楽しむもの」と、陳列で人々を魅了する。火鉢脇で茶をすすりながらの美術談議も楽しい。
◎三越前駅A8出口すぐ。11:00~18:00ごろ、日・祝日休。日本橋室町3-2-18
☎03・3241・6543
Google Map
  • とらや 日本橋店
  • とらや 日本橋店

日本橋の袂(たもと)に構える小さな老舗

とらや 日本橋店

戦後、材料不足で和菓子を製造できなかった『とらや』が始めた喫茶店が前身。1948年、喫茶店を閉店し、和菓子屋として再出発した。夏の人気は昔も今も水羊羹324円。しっかりめの食感で、すっきりした甘みのこしあん「御膳」のほか、小倉、黒砂糖、抹茶の4種がある。8月下旬まで。
◎日本橋駅B9出口徒歩3分。9:00~19:00(土・祝日は18:00まで)、日休。日本橋1-2-6
☎03・3271・8856
Google Map
  • ヘアサロン大野 艶出(つやだし)専科本店
  • ヘアサロン大野 艶出(つやだし)専科本店

年表とコレクションで知る紳士のたしなみの歴史

ヘアサロン大野 艶出(つやだし)専科本店

英国紳士を手本にした日本の理容。その歴史年表を掲げるのがこの店だ。戦前に開業し、1948年に日本橋に本店を構えた。店内にはアーティスティックなシェービングカップや、西洋に渡った伊万里焼のひげ皿を陳列。紳士への一歩を踏み出したくなる。
◎三越前駅A10出口徒歩1分。10:00~20:00 LO(土・日・祝日は19:00LO)、無休。日本橋室町3-3-3 CMビル1F 
☎03・3211・7031
Google Map
  • レストラン東洋
  • レストラン東洋

昭和な空気感に和む洋食&洋菓子

レストラン東洋

「戦後の開業時は“あんこもの屋”。でも、いつの間にか洋食を始めてました」と、支配人の北村親一さん。1965年に建て替え、1階がカフェ、2階がレストランに。手ごねハンバーグにフライ2種が添うBランチ1000円はまるで大人様ランチ。ショートケーキ400円など、地下工房で作る端正な洋菓子もいい。
◎日本橋駅B11出口徒歩1分。喫茶は10:00~21:30、レストランは11:00~23:00(ランチ~16:00)、土・祝日は11:00~17:00、日・第3土休。日本橋1-2-10
☎03・3271・0003
Google Map
PAGETOP